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大阪から関東に左遷されたあほんだらの自転車旅行記

美しい台湾(環島)一周サイクリング 1日目 桃園~新竹

 

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生き地獄ーーー。
 
深夜0時を回った関西国際空港の待合室ならびに休憩部屋は、フィルターを2.3枚介したような空気の薄さと乾燥具合であった。
唾を飲み込むたびにネットリと絡みつく感覚があり、それを払拭する為に暖房で温まったミネラルウォーターを口に含む。
ゴクリという飲音と共に乾きは去ったが、これも一時的なものだ。
 
スマホを見ていると頭がクラクラとし、それは体にSOSを発信ているようだった。
 仮眠することもままならない環境、いや、眠ってしまえば体調をも崩してしまいそうな空間にたまらずレンタル毛布とタブレット片手に部屋を飛び出した。
 

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それも全部フライトのせいだ。
関西国際空港台北peach便は3月1日明朝7時50分のフライトである。
もろもろの準備とチェックアウトの手続きを考慮すると6時代には関空内でスタンバっていなければならないのは想像に難くないだろう。
であるならば、翌朝早出するよりも前乗りで休憩室で仮眠でもしている方が利口だろうというのが私の采配であり、それが大凶と出た。
 
ただ、震災の避難所はこの比じゃないんだろうななんて呑気な思考を巡らせながら、夜風に当たるためフラフラとした足取りで第1ターミナル側に歩幅を進める。
ギィと思いドアに体重を預け風を浴びる。
望んだ環境にもか変わらず、昨日まで2月であった深夜のシンとした風はパーカーでは肌寒かった。
結局外と休憩室という双極の合間に位置するロビー的な空間がいい塩梅ということで落ち着いた。
 

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新宿のホームレスのように堂々と椅子に横になる面々を見、て私もそれに習うことにした。硬い椅子に体重を預ける。当然だが硬くて痛い。
隣で寝そべっていた3人組はこちらに頭を向け仰向けの状態でスマフォに忙しなく指を這わせていた。
会話は一切なくInstagramとLINEを行き来する動作を反復横跳びのように繰り返して時間を貪っていた。
こちらから彼女らの画面は前見えで、向こうの視界には私が映らない。黒い画面に反射してはおしまいだが、この状況が面白く、しばらく彼女らのスマホを覗き見させてもらった。
すぐ横の友達ではなくスマフォに繋がりを求めるのか…
そう考えると1人の私と三人の彼女たち、我々の価値観の共有に関しての相違は無いようにも思える。
 
寝ておいたほうがいいと頭では理解しながらも、夜風に当たり歩き回ったことで目と神経はしっかりと冴え、こうして文字をスマホに打ち込んでいる次第だ。
あらかじめアマプラにDLしておいた映画を観ながら翌朝7時50分のpeachフライトを待った。
peach便は関西空港第2ターミナルからのフライトとなる。
現在地の第1ターミナルから移動するには無料の送迎バスを使う必要がある。
余裕を持って1時間半前にはここを出ておこうと決めた。
 
そういえば、とふと思い出す。Wi-fiルーターレンタルの受け取りが第1ターミナル2Fであった。
通信イモトのWi-fiを受け取る為10分ほど歩き回る。地図も見ず探したせいかかなりの時間を弄し、ルーター自体もかなりわかりづらい場所に設営されていた。
 

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あらかじめ用意していたQRコードブルーライトにかざすと無機質な音声とともにロッカーの一つがガチャリと開いた。
中には紺のシンプルなポーチが一つひっそりと備えられており、ファスナーを開けるとルーターらしき電子機器とその充電器のようなものが入っていた。これで、向こうでの通信面は問題なさそうだ。
Google MAPや翻訳など必要最低限の使用にしておけば通信制限にもならないであろう。お金はあらかじめ入金しておいた。ちなみに保険は入っていないので紛失もしくは破損は5万円の徴収を意味する。
 

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早朝5時、第2ターミナルへのシャトルバスに揺られながらひっそりと明るみを帯びている関空周辺を望む。
悪口ばかり言っていた私だが、その朝日は新たな旅の幕開けをも祝福しているように映った。
 

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第二ターミナル国際線の自動ドアを開けると待っていたのは、黒い塊のような人混みとザワザワであった。
自転車を担いだ私はエクスキューズミーエクスキューズミーと念仏のように捉えながら合間を縫って歩いて行く。ガツっとぶつかった衝撃があった時は、相手よりも自転車の安否を懸念した。
なんとかpeachのチェックイン機まで辿り着いたものの、そこにあったのは長蛇の列であった。この空間…謎の既視感は年始バーゲンセールでよく見受けられる光景であった。
20分ほど並んでいるとようやくチェックイン機へ、さらに荷物受け渡しにもかなりの時間を要し、ゆとりを持って来た自分を褒めてやりたかった。
いよいよ自転車とバックパックを預ける。
自転車はガチガチに包装したつもりだが、丁重に扱ってくれるかは向こうの裁量次第だ。
peachのお姉さんに「こいつのこと宜しく頼みます」と恥ずかしいお願いをして去ることにした。
 

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パスポートを提示し、ゲート内に入ると、ファーストフードやお土産ブースが並ぶ空間に出た。
各々は寛いだり朝食をガッツリ取ったりと好きな時間を過ごしていた。しかし、私は朝食をあえて取らないことにした。
ガッツリと腹を空かせ、本場小籠包を腹にぶち込んでやろうと心に誓った。
 
そんなことを考えていると搭乗の時間に。
事務的な手続きを済ませ久しぶりの浪漫飛行
 

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キィィイイイ…グラデーションでノイズを増す轟音が耳を劈く。
身を預けるpeachの機体は重い腰を上げるようにのっそりと、しかし確実に助走レーンへと近づいているのが感覚で分かった。
車窓には不細工を茶髪に黒縁で隠したいけ好かない奴が常時外にスマホをかざしていたため、通路側の私はその汚めの髪越しに車窓を垣間見ることとなった。
無論写真など撮れるはずもなく、外見れないなら寝て居ようという合理的な判断に至った。
 
ーーーーー
 
熟睡できるでもなく堅めの背もたれに頭をぶつけていると、さっさと起きろとの節を伝える流暢な日本語が脳に飛び込んできた。
機体が急激に降下しているせいか、耳の穴をアイスピックでほじくりかえされるような痛みが神経を支配した。こんなに痛いなら乗らなければよかったと後悔するほどに。
やはり俺は飛行機に向いていない。
機体は完全停止し退出okの空気になると、集団は我よ我よと立ち上がり出口を求めウズウズとしていた。先頭がボトルネックのように詰まり、結局余計に時間がかかっているように思えた。
集団の流れに身を任せ桃園空港のへ歩みを進める。
 

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まずここで入国カードを記入して提出しなければならない。
書き方は日本語のガイドが貼り付けてあったので割とすんなりと記入は終わったが、提出までには相当並ぶ必要があった。後で聞いた話だが、入国カードは飛行機内で配られていて、そこで記入し用意しているとここは楽にパスできたようだ。
 
日本で預けた荷物を取りに行くと人は案外混雑していなかった。私は関税で大幅に遅れを取ったため恐らく一番古いエリアのベルトコンベアだろう、奥まで足を延ばす。
すると遠巻きから一つの黒い塊が投げ出されているのが見えた。
 

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これが現実である。
 
ノンフィクション。
適当でいいやと言わんばかりに愛車は投げ出されていた。
バックパックも回収し、再びズッシリと負荷のかかった身体で台湾の大地を踏みしめた。
 
 
 
3/1 13:00 桃園空港
 
重いガラス扉を開くと暖かな春の訪れを知らせる空気が鼻腔をついた。
春くらいに沖縄へ行ったことのある人間なら共感してくれるであろう。あの感覚だ。
昼とは言え3月1日から多分、20度以上はあったであろう熱さに長袖のサイクルジャージ の中ははやくも汗ばんできていた。
日本とここまで温度差があるのは正直予想しえなかった。
 
眠れなかったからか頭がズキズキと痛み体に怠みもある。完全に風邪を引いたな。
関空の休憩室で「体調を崩しそうだ」と感想を述べたが実現してしまった。
エスタックEXを持ってきて良かった。治しながら走る。
 

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キャッシュカードがあるとは言え
とりあえず現地通貨も調達しておく必要がある。財布の中の2万2千円を渡すとカラフルな紙幣といくらかの小銭が帰ってきた。
円相場にもよるが今回の場合は大体
1台湾ドル(元)→3.6円で計算すると早い
 
 

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邪魔にならなさそうな場所に荷物を置き、自転車の組み立てに入る。
プチプチを剥ぎ取りラップにハサミで真っ直ぐな亀裂を入れる。
パッと見だが丁寧な梱包が身を結び壊滅的な被害は無いように見受けられた。
しかし細かく見るとフレームに若干の傷、ブレーキやその他のパーツにも傷があった。これだけで済んで良かったと思うべきか否か。
 

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▲せっかくなので今回の相棒紹介。
cinelliのsuper corsa
美しいフォルムのクロモリフレームで私とはもう2年以上の付き合いだ。
日本縦断にも耐え凌いだタフな奴だ。
ホイールはレーゼロ。
コンポは105
 
組み立ても順調にすすんだが、ここで3点の忘れ物に気付いた。
自転車のカギ
ヘルメット
ボトル
である。ヘルメットを忘れるのは自分でもあきれ返った。
いずれもほぼ必須なため、急速に入手する必要がある。
空港から最も近いのが20kmほど離れたサイクルショップであった。
 
自転車屋を探す際はGoogleMAPで「bicycle」と調べると沢山hitする。
 

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最も近く充実していそうであった桃園市自転車屋さんへ。
いよいよ台湾の街並みを走る。
鍵がないためおちおちと買い物もできない。
 
まず最初に驚いたのは原付の多さだ。
とにかく流れ弾の如く後ろから追い抜いてくる。その追い抜き方もスリリングで、向こうがラリアットしながら走っていよう者ならば肘あたりで高等部ヒットしそうなほど横スレスレを抜けていく。
少なくともこの日は全く慣れず、先行きが心配であった。
まっすぐ走ることを意識した方がいい。
 

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原付の多さ故需要があるのか、こういったサーフェイス?屋も多く見受けられた。
 
無事自転車屋を見つけ、安全の確保に成功。
意外だったのが一発でjapaneseであることが見抜かれたことだ。
よく間違えられそうな韓国人とは決定的に違う何かがあるのだろうか?それとも少し日本語に耐性があったのだろうか。
 

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チャリ屋のにいちゃんと2ショッツ。
この旅でわかったことだが、台湾の人は自撮りに対してはかなり交友的である。
 
腹の虫がないていたため、台湾料理屋を探したが空いている店がなかなか見つからず・・・。やっと見つけた場所では店員のおばあちゃんに英語が通じなかった。
「おまかせで!」と言おうにもそれさえ通じずもはや完全に手話である。
 

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苦笑されたがなんとか飯にあぶりつけた。ランチプレート的な。
値段も400円ほど、安い、ボリューミー、優勝。
 
本日は70km漕ぎ新竹市へ。
 

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見慣れない景色にその日見た映像はなにも新鮮に映った。
色々書こうにも何からかけばいいのか正直わからない。
 
基本的にはずっと大きな道路に沿って走っているだけである。まだ比較的郊外にカテゴライズされる位置だからか、大自然感は感じられない。
 

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先ほども申したが、原付大国であるため台湾の大きめな道路にはこのような原付専用レーンと信号待ちエリアが設けられており、二輪である私もここを走ることとなる。
二輪専用とは言っても大きめのトラックが抉ってくることもあるため気は抜けない。
 

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前で信号待ちをするロードバイク
後ろでたなびいている国旗は台湾国旗。
地元の台湾一周チャリダーだろうか。
 

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新竹駅前まで行くと若者であぶれるアメリカ村のような場所へ。
街並み自体はビルが立ち並ぶというよりは下町感のほうが強い。
 

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交通量の多さ・・というよりは台湾特有のガチャガチャ感が伝われば良い。

ABCマートが有ったり、吉野家が有ったりと、たまにここが台湾であることを忘れる。

 

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漢字ばかりな風景はアジア感溢れていて良い。

これから茶飯事になっていくだろう。

 

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旅の宿泊場所は基本的にはドミトリーと呼ばれる4〜8人部屋の格安宿。
簡単に言えば懐の寂しいbackpacker向けの最低限の安全確保だ。
一泊の値段は1000〜2500円程。質のいいところは洗濯機が無料で使えたりする。
日本では阿蘇に行った際お世話になった。
 
半日なので進捗はあまりないが今日はこれでおしまい。
 

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台湾のソウルフード牛肉麺台湾ビール
牛肉麺なんて牛肉使ったラーメンなんだから絶対うまいだろと期待していたが実際は・・・スープはいまいちだし麺も語るに値しない。
日本の洗練されたラーメンで舌が肥えしまっていた。
台湾ビールはうまい。すっきりとした味わいでぐびぐびいける。
 
 
では
1日目走る中で重要な点をいくつか見つけたたので挙げていく。
 
とにかく原付が多い
恐らく台湾人の移動手段の45パーセントは車、54パーセントは原付、残りが自転車だ。(感覚)
信号待ちで原付10台は普通
多い時は70台くらい信号待ちしている
 
自転車は少ない。
スポーツバイクかレンタサイクル、ママチャリは数えるほどしかいない? 
市街地にはほとんどいないか、サイクリングロードには結構いた。みんなこっち走ってはるんやね。
 
二輪を置く場所がない
原付は割とその辺に揃えて置かれており、駐輪場らしきものはない。自転車はとりあえず邪魔にならなさそうなところを探して置くしかない。
 
クレジットカードは意外と使えない
コンビニやドミトリーでもほぼ原則現金払い。無論夜市などの屋台でも。レストランや飯屋でも。
カードでピッと払うGooglepay等が主流になっているようだ。
遅れてるなあ日本としみじみ感じた。
 
日系企業はかなり見かける
挙げればキリがないが「しまむら」「カラムーチョ」があると言えばその幅の広さはお分かりになるだろう。
 
コミュニケーションは思っていたよりキツイ
モノ買うだけで結構苦労する、というのも向こうサイドが少しでも英語を齧っていれば意思の疎通もできそうなのだが、おじちゃんおばちゃんやアホそうな奴には「テイクアウト」「ハウマッチ」「アポイントメント」「プリーズディスワン」すら首を傾げられる。
日本語はほぼ通じない。日本語いける的な戯言を抜かしているのは台北でタピオカとかき氷だけ啜って帰る女が書いたガイド本とサイトのみである。
ごく稀に喋れる方がいるがホントに少数であり、円滑なコミュニケーションも難しい「ジャパニーズ ベリー ウェル」と言うと「スコシダケ」と片言で返してくれる。
 
トイレに紙がない
台湾では多くの日系コンビニが乱立しており、ほぼ例外なくトイレも併設されている。
それはいいのだが、その中には紙はご自分でのパターンが潜んでいる。そしてトイレットペーパーが当たり前の国で生きてきた私はそのことに、糞を産み落とした後に気付く。
その結果汚れ肛門をキュッと締め、パンツ半脱ぎでウロウロと売り場を徘徊し、ボケとティッシュを買いに行く羽目に。
代わりに物凄く有難かったのが、広いイートインコーナーが100パーセント備えてある。
サイクリストである私にはありがたく、すべてのコンビニを休憩地点と捉えられる。このあたりの利便性に関しては日本の企業を超えている。
 
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